1999年10月18日   日産自動車、『日産リバイバル・プラン』を発表

本日、日産自動車株式会社は、日産が全世界で持続的に利益を出し、成長し続けるための包括 的な再建計画を発表した。『日産リバイバル・プラン』は、事業の発展および市場でのプレゼン スを高める計画に加え、連結ベースで2002年度迄の1兆円のコスト削減、販売金融を除いた有利 子負債の1兆4,000億円から7,000億円以下への削減計画を含んでいる。

日産のカルロス・ゴーンCOO(最高 執行責任者)は「このプランの中で、コ スト削減が顕著で中心的な部分である が、それだけでは成功につながらない。新商品の開発に重点的な投資を行い、日産のブランド力を取り戻し、全世界での シェア向上、収益力向上を図ることが不 可欠である。」と語り、商品力を強化し市場でのプレゼンスを高めることの重要 性を強調した。

具体的な商品計画として、米国では 2002年までに商品ラインアップを拡大し、Zカー(日本名:フェアレディーZ)を含め4つのモデルを新規投入する。また、日本ではルノーとの最初の共用プラットホームを使用したマーチ/キ ューブを2002年に投入する。欧州では2003年迄に全ての商品をモデルチェンジし、更に小型四輪駆動車を新規投入する。また、日産はルノーとの提携によるビジネスチャンス を迅速かつ積極的に活用して行く。

「成長とコスト削減により日産は2002年度までに連結ベースでの売上高営業利益率4.5%の達成を目標としているが、まず第一の目標は2000年度での黒字化達成である。」とゴ ーンCOOは語った。

1兆円のコスト削減は、主としてグローバル購買、生産、販売・一般管理費の3つの分野で達成する。 2001年3月までに3つの車両組立工場、及び2002年3月までに2つのパワートレイン工場での生産を中止し、他工場に集約する。また、連結ベースでの人員を2万1千人削減し、主要機能をグローバルに統括管理していく。尚、再建のための費用として、今年度2,000億円を引き当 てる。

調達コストの削減は、本プランを成功させる為の極めて大きな要素であり、現在、地域/国毎で策定している購買方針を今後グローバルで集中化していく。これにより、現在日産における総コストの60%を占める購買コストを3年間で20%削減し、また現在取引を行っている1,145社に及ぶ部品・資材サプライヤーを2002年度までに600社以下とする。日産の“パートナーサプライヤー”は取引量の大幅な増加により、より大きな利益を得ることとなる。コスト削減を実現していく為にはサプライヤーとの協力が不可欠である。具体的には「日産3.3.3.」(注1)活動のもとで、日産の購買部門、開発部門はサプライヤーに対し世界レベルで技術開発、コスト、品質、納期それぞれの分野のベスト・プラクティスやベスト・ パフォーマンスを求め、競争力のあるグローバルサプライヤーとのパートナーシップを促進し、サポートしていくことでお互いの協力関係を深めていく。併せて、全てのコスト削減計画を効果 的かつ迅速に達成する為、品質、信頼性に対する高い評価を維持しながら、基準や仕様の見直しを行っていく。

『日産リバイバル・プラン』におけるコスト削減のもう一つの大きな柱は、生産の効率化である。日産の工場は世界トップレベルの高い生産性を誇っているが、その一方で過剰な生産能力を抱え、高い固定費を負っている。日産は、最適な生産効率及びグローバルでの高コスト競争力を実現する為、日本国内の過剰生産能力を削減する。また同時に、リーン生産/フレキシブル生産システム化を更に推進し、市場の需要変化に対応できる生産システムを構築していく。具体的な 工場での車両およびパワートレインの生産中止は以下の通りである。

車両組立工場: 村山工場、日産車体京都工場、愛知機械港工場(2001年3月に中止)

パワートレイン工場: 久里浜工場、九州エンジン工場(2002年3月に中止)

因みに今年度の日産の日本国内の生産台数は128万台となる見通しであり、工場の稼働率は53%となる。本プランでは、国内生産能力は30%削減の165万台となり、2002年度までに稼働率を82%にまで引上げる計画である。ゴーンCOOは「工場の生産能力削減は大きな痛みを伴なう決断であるが、残りの工場は生産 性、コスト効率の面で業界トップの地位を築くこととなる。」と語った。また、「プラットホー ムの削減は、生産体制の合理化やスリム化につながる。」とも付け加えた。

日産は現在、国内7工場で24のプラットフォームをもとに車両を生産している。本プランでは、2002年度までに当社は4工場、15プラットフォームとし、さらに2004年度までに4工場、12プラットフォームとする計画である。加えて日産は物流のグローバル化、グローバルレベルでの生産工場間のベスト・プラクティスの採用により、運営コストの削減を図っていく。

販売・一般管理費については、販売奨励金の削減、グローバルでの宣伝広告の集中化、間接業務の合理化により20%削減する。また現在の地域別組織は、真のグローバル企業にふさわしいものに改編される。その他日本に於いては10%の販売拠点閉鎖を含むディーラー網の効率化を図り、また米国においては、リージョナル・オフィスの統合を行う。(注2)

財務面においては、現在世界各地域で行われている財務管理やリスク管理などの業務を、グローバルレベルで集中的に管理する体制を構築する。また、日産は現在1394社の株式を保有しているが、費用対効果の観点から売却を進め、現金化を図っていく。さらに、土地、株式及びノン・コア資産の処分を2002年度までに行い、また在庫削減計画に基づき現在の売上に対する在庫比率を30%削減する。

ゴーンCOOは「非戦略的でノン・コアな資産売却から生まれる資源を活用し、本業の自動車事業により多くの資源を投入すること、また同時に負債の大幅な削減を早期に実現することである。」とし、「目的は会社を発展させる事であり、縮小する事ではない。」と強調する。研究開発部門については、新型車開発力強化の為、よりグローバルな組織に改編する。その一方で、各地域の開発拠点は、それぞれの地域で販売される商品についてより大きな責任と権限が与えられることとなる。 また、コアテクノロジーへの集中化を図り、それによって生み出された研究開発資源の一部を「日産3-3-3プログラム」に投入し、サプライヤーと共同して原低活動に全力を尽くす。

日産は、開発期間短縮とコスト削減を図るためこれまで以上にサプライヤーとの連携を深め、開発の初期段階から共同作業を行っていく。開発期間を短縮する目的は、現在新型車の日本国内の立上げから海外市場への投入まで12〜18ヶ月かかっているリードタイムを縮めることである。

日産は提携のパートナーであるルノーとの間で研究や先進技術の共有並びにプラットフォームの共用化等を計画しており、クリオ/マーチ/マイクラ/キューブが両社のプラットフォーム共用化の最初のモデルとなる。

ゴーンCOOは「これらのすべての方策の実行によって、技術力を強化し、研究開発の成果を飛躍的に高める一方、他に必要となる経営資源を極限まで抑えることができる。」とし、「これらの目的は日産とルノーの研究開発部門を統合することではない。業務やプロジェクトをきめ細かく迅速に分担すること、重複を避けること、基準やサプライヤーを共用することが目的である。」と語った。

ルノーとの連携強化の具体例として、欧州における数ヶ国での中核拠点、共通のバックオフィスの設置や業務の共通化を行う。南米では、日産はルノーの持つ体制とインフラを活用しプレゼンスを高めていく。また、メキシコでの日産の販売増と収益拡大のため、ルノー・クレジット・インターナショナル社は同国に販売金融会社を設立する。

2万1千名の人員削減は、自然退職やパートタイマーの活用,ノン・コア事業の分離,早期退職制度によって達成する。日本国内では、実績に基づく昇進制度を確立する。グローバルレベルにおいては、経営層に対する実績重視の報酬制度を2000年に創設し、また、特別報酬やストックオプション制度を日産の収益力強化や成長を図るためのインセンティブとして活用する。

日産のグローバルでの200名の管理職がこのプランの策定に携わり、ゴーンCOOは、「このグローバルなチームが現在の問題の核心が何であるかを十分に理解し、解決策を策定する事によって、日産が今後果敢に行動する事が可能となった。」と語った。

また、塙義一社長は本プランに対し 「このプランは、我々が誇る日産の新たな時代の始まりを示すものである。この プランの実行に不退転の決意で臨む。」 と語った。

『日産リバイバル・プラン』の発表に 際しゴーンCOOは、大胆なブランドイメージと魅力ある商品ラインナップによ ってマーケットシェアと収益を改善さ せ、5年以内に日産をグローバルな競争力を有する企業として再生させることを 強調し、次のように締めくくった。「この『日産リバイバル・プラン』は、日産 が強い企業として復活するだけではな く、ルノーとのアライアンスによって、胸を張って世界第4位の自動車グループで あると言えるようになるためである。」「再び強くなるためには大胆でなければ ならない。」

以上

注:

1)「日産3.3.3.」: 3つのパートナー(サプライヤー、購買、開発) 3年間 3つの地域(アジア、米州、ヨーロッパ/中近東/アフリカ)

2)詳細計画は北米日産により1999年12月1日までに発表予定。