日産・フェアレディ・オーナーズクラブ  

3代目フェアレディZ・Z31のポイントは、オーバー200km/hのスピードを確実に支配できる走行性能の開発にあった。もちろん、S130も200km/h以上をマークする実力を備えてはいたが、Z31の場合、250km/hの最高速度という具体的な数値を揚げ、開発目標としたのである。これは、同時にオーバー200km/hの高速において欧米のスポーツカー・高性能サルーンを凌ぐ操縦安定性を達成することも意味している。

目標性能の実現のために、まず新しいパワーユニットの開発が始められた。さらなる性能向上を求めたVG系、V型6気筒エンジンである。基本設計としては、等間隔爆発を可能にする60度のバンク角、効率の高いペントルーフ型の燃焼室の採用など、高出力化への対応が図られている。中でもV6 3000ccにターボチャージャーを与えたVG30ET型エンジンは、ハイパワー・フェアレディZの復活を告げるパワーユニットとして大きな意味をもった。

このエンジンの開発にはきわめて多くの課題が立ち塞がった。吸排気効率の向上、ターボチャージャーによる熱の問題の解消、高出力化に対応したクランクシャフト、メイン・ベアリングキャップなど部品の強化である。しかしながら、400基を越える試作エンジン、のべ1万時間の耐久実験、90万キロの車両耐久実験などを経て、これらの課題は徹底的に詰められ、VGエンジンはきわめて素性の良いエンジンに仕上がった。

エンジンと同様に、サスペンション、トランスミッションなどのユニットでも、欧米で要求される高速域での性能を求めて徹底したトライが繰り返された。その一例が、ドイツのアウトバーンを始めとする欧州の高速道路で行われた「高速コンセプトチーム」の実験である。これは、各部門の開発担当者がアウトバーン上でZ31の先行開発車のハンドルを実際に握り、230km〜240km/hの世界を体験し自らのテーマを確認するというものであった。同時期にアメリカではテストコース上で1ヶ月にわたる連続走行テストが行われた。途中ストップするのは給油時のみというきわめて過酷なテストである。

これらの挑戦の結果として、80年代のスポーツカーに相応しい実力を身につけたZ31が1983年9月にデビュー。高速域での安全と余裕、そしてフェアレディZ本来の豪快な走りを実現した。また、"Z"らしいアイデンティティを残しながらも、ボリューム感を表現し得た、独自のスタイリングは、北米においても高い評価を得、成功を収めている。

(Photo/Text : NISSAN SPORTS 1995 CALENDARより)