Z33 フェアレディZ Roadster 試乗記 (2003年10月20日記)
■ここで気になる事がありました。オープンモデルのクルマにはコンバーチブル、カブリオレ、ロードスター、スパイダーなど様々な呼び方があります。そして先代のZ32型オープンモデルはコンバーチブルだったにも関わらず、新型のZ33型はなぜロードスターと言うネーミングなのでしょう。先日機会があり新型Zの開発者の方々にお会いする機会がありましたので少し伺ってみました。
お話を伺ったのは、日産自動車(株)商品企画室チーフプロダクトスペシャリストの湯川伸次郎様で、まさにZ33型フェアレディZの生みの親です。湯川様はロードスターのネーミングについて、そもそもロードスターとは2シーターのオープンスポーツを指すのですが、フェアレディZロードスターはただ単にそれだけではなく、雨と雪の日以外は屋根を開けて「オープンエアを楽しむスポーツカー」で、「屋根を開けたときに一番かっこいいクルマ」であることを創造しロードスターとしたそうです。そのため幌を開けた状態では幌を全て収納し、デザインを重視していますし、空力を考え多少の雨ならオープンのまま走った方が良いように設計されているそうです。私が試乗した最初の日が大雨で、1枚ものの幌では雨音が非常に大きく、気になったことを伝えると、ロードスターはオープンが基本で、雨が防げる最低限のものがあれば良いし、ハードトップなどという貧乏くさいものは必要ない!そこまで割り切って開発しているということでした。クーペモデルでは2シーターのみと割り切った商品ラインナップ。ロードスターでも屋根など必要ないと言わんばかりの割り切り。ターゲットを絞り込んだ商品開発に、ここ最近の日産にはある意味パワーを感じます。
■今回試乗した初日が大雨だったため、屋根が開くクルマに乗りながら開けれないという状況はとてもフラストレーションの溜まるものでした。体にも精神的にも、かなり悪いです!そして先ほども触れましたが、Z32コンバーチブルの幌は2重構造になっているのに対し、Z33ロードスターでは1枚の幌のみとなりました。この事により雨音の大きさが気になり、大降りになると隣の人との会話も不自由なくらいのものでした。幌を閉めた状態で約1日走っていてうすうす気付いていたのですが、このZ33ロードスターの剛性はかなり高いもののようです。まず幌を閉めた状態でクルマを走らせると、一般的なオープンカーは開閉部分やゴムのパッキン部分からキュッキュッと擦れる様な音がするものですが、このZ33ロードスターにはありませんでした。まぁ新車だから音がしないのだろうと気にしていませんでしたが、屋根を開け走り込むほどにこのクルマの剛性の高さを実感することが出来ます。これは、Z33を開発する早い時期からロードスターの商品ラインナップが盛り込まれていたためでしょう。
日産自動車(株)第一車両開発本部兼第一車両計画部の永井様は、昔のように完成されたクルマの屋根を切って創ったようなオープンカーでは、今の時代の他のオープンカーと肩を並べることは不可能で、クルマ作りの最初の段階から企画する必要があると話して頂きました。また、オープンモデルはとかく風の巻き込みのみが問われますが、Z33ロードスターでは風を感じるためにどのように風が流れ込むか、どのくらい風を遮り逆に入れるか、という風のコントロールを考えたと言うことでした。湯川様の言うオープンエアを楽しむ演出に無くてはならないものが適度に流れ込む風だったんですね。そして永井様も、屋根を開けたときは1番だぞ!を目指したそうです。