Z33 フェアレディZ('07model)試乗記
(2007年2月25日記)

Highslide JS皆さんはもうご存じだと思うのですが、Z33型フェアレディZは毎年進化している珍しいモデルなんです。ファンや関係者の中ではイヤーモデルとして既に定着していますが、一般にはなかなか知られていないかも知れません。一昨年の'05モデルでは、ライトやリアコンビネーションランプなどのエクステリアが変更され、今年の'07モデルではエンジンが大幅に見直されました。

以下に、細かな変更点は書いていませんが、大まかにまとめてみました。

'02.07:Z33デビュー
'03.10:ロードスター追加、
     欧州仕様のサスペンションに変更
'04.01:Type-E発売【期間限定車】
'04.09:5ATにシンクロレブコントロール採用
'05.01:35th anniversary発売【期間限定車】e-VTC他改良
'05.09:マイナーチェンジ(フロントバンパー、ヘッド&リアランプ意匠変更、
     エアダクト径の拡大etc...)
'06.01:Type-G発売【期間限定車】
'07.01:搭載エンジン変更、エンジンフード意匠変更

今後はVersion NISMO Type 380RSやVersion NISMO Type 380RS-Competitionなどの発売が予定されており、この様に毎年仕様変更されるクルマも珍しく、とてもコストのかかることなのでしょうが、最新の技術、最新の装備を常にZに与えているためとのことでした。
そうなってくると、逆にいつ買えばいいのか買いどころが難しいのですが、考え方を変えれば、いつ買っても最新のクルマが手にはいると言うことで、買おうと思ったときが買い時でもあるということでしょうか。また、各年で仕様の違いがあることから「06年のモデルが好み」とか、「買った04年のモデルが自分には合ってる」という声も聞こえてきますので、人によって好みのモデルも様々なようです。

■イヤーモデル
Z33フェアレディZ-'07modelは、今までのVQ35エンジンから、前回試乗させていただきましたV36スカイラインと同じエンジンであるVQ35HRエンジンを換装したモデルとなり、「High Revolution(高回転)」「High Response(高応答性)」を掲げ、シリンダーブロック、ピストン、ベアリング、吸排気系、カムシャフト制御など、性能向上にかかわるほぼすべての部分が新設計となった新エンジン、最高出力313psを手に入れました。また、エンジン部の大型化によりエンジンフードのデザインも一部変更され、フロントバンパーもデザイン変更されています。更に輸出仕様で設定のあったグレーの内装が標準として加わった他、ロードスターでは幌のカラーを2色から選ぶことができます。
■'07年の目玉、VQ35HRを100%楽しむには!
'07モデル最大の特徴は、やはり搭載エンジンの変更となるのでしょう。タコメーターは7500回転からがレッドゾーンとなっています。街乗りで7500回転まで回すことは少ないと思いますが、それでもエンジンがストレス無く吹けあがっていくのは十分実感することができます。そして、新エンジンであるHRエンジンを100%楽しみたいのであれば、マニュアルミッション車をお薦めします。このエンジンの美味しいところはやはり高回転域でしょうから、意識して楽しむにはやはりマニュアルと言うことになります。しかし、普通に乗っていて、十分パワーのあるクルマであることには違いなくトータル的な速さはありますので、オートマチックであっても基本性能が高いことは言うまでもありません。前回試乗したスカイラインにパドルシフトが装備されており、普段多用する事はないと思うと書きましたが、このフェアレディZに関しては、オートマチックの場合、パドルシフトを是非使ってみたいと感じました。
スカイラインとフェアレディZ、同じエンジンでも味付けはかなり違っているようで、スカイラインではトータルバランスで速さを感じ、このフェアレディZでアグレッシブなイメージを感じます。
■意外に落ち着いた足回り
'02年に発売されたZ33に初めて乗ったとき、何と堅い足回りだと感じましたが、翌'03年に追加されたロードスターでは、少しマイルドになったように感じました。そして今回の'07モデルですが、更に落ち着いたものになったように思えます。これは、足回りの設定変更などもあるのでしょうが、新エンジンでの重量バランスなどが大きく関係しているようにも思えます。実際にステアリングを握ると、キビキビした動きと言うより、重く大きなクルマを動かしている・・・と言うドッシリとした感覚が伝わってきます。この感覚は以前何処かで味わった様な・・・そうだ!Z31型フェアレディZがこんなイメージでした。断っておきますが、性能的なものではなく、あくまでイメージと言うことでご理解ください。
さらに、エンジンの高出力に合わせてブレーキが強化されているかどうかは不明なのですが、何となくブレーキが追いついていないような気がするのは私の気のせいでしょうか。また、そのブレーキも何となく、ぎこちない挙動を示します。はて?この感覚は以前何処かで味わった様な・・・そうだ!Z32型フェアレディZがこんな・・・・いやいや、あくまでもイメージです。
■残念なエンジン音
Z33フェアレディZ-'07modelで一番残念に思ったのはエンジン音でした。走行中、前回試乗したスカイラインでは、アクセルを踏み込むとセダンとは思えないようなエンジン音と共にクルマが加速しました。高性能エンジンを与えられたクルマであることを全面にアピールしていたのですが、このZに関しては、タイヤのロードノイズがとても大きく、通常でもエンジン音はほとんど消されています。これはアクセルを踏み込んでみても同じで、加速と共にロードノイズが大きくなるばかりでした。エンジンにこだわったmodelであるのであれば、もう少し考慮できなかったのかと残念に思います。実は、今回の変更でタイヤの銘柄も変更になりました。これは、運動性能を低下させずにロードノイズの低減を狙ったとのことですが、その効果は低かったようです。

■大きな「力こぶ」・・・

エンジンの吸気系を変更したことによりエンジンフードの中央部が大きく膨らみました。これは、Z33フェアレディZ-'07modelのもう一つの大きな特徴となっているのですが、初代「Z」であるS30型フェアレディZでも、エンジンルーム内に大型の直列6気筒エンジンを納めるためにボンネットの中央を膨らませたという話があり、まさにそれと同じような話なのです。膨らんだ形状も、そのS30型フェアレディZ〜S130型〜Z31型の膨らみ形状を継承したデザインとなっているのですが、これには賛否両論。先代のZ32型でボディーデザインが一新し、エンジンフードの膨らみも柔らかな曲面へと変更になり、Z32型のデザインに溶け込んだ美しいものでした。Z33初期モデルにおいてはエンジンフードがほぼフラットになったのですが、デザインを継承するプレスラインがそのイメージを伝えます。そのクルマにはそのクルマにあったデザインが必ずあると思いますし、S30型フェアレディZの時と同じ理由でボンネットを膨らます必要があったとしても、クルマ自体のデザインが大きく変わってきているにも関わらず、何故そこにS30型フェアレディZのディテールのみを採用する必要があるのか疑問が残ります。
運転していると、ボンネットのふくらみはハッキリ確認できます。ボンネットが高くなった分、ヘッドライトが低くなったように見えなくもないのですが、フロント部分が分厚くなった感は否めません。「力こぶ」としてみれば頼もしい膨らみなのですが、スポーティーなシャープさを好む場合は気になる膨らみになるのでしょう。また、ボディカラーによって気になったり気にならなかったりがあるのかもしれません。試乗車はダイヤモンドブラックで、修景を写し込むことからさほど気になりませんでしたが、ソリッドな色合いだと少し気になるかも知れません。

■じゃじゃ馬っぽいところがこの'07modelにはある。

試乗2日間経てばそのクルマにもすっかり慣れてくるものなのですが、今回のZは2日目でもチョットした緊張感が残っていました。もちろん、以前試乗したZ33には全く感じられなかったことで、アクセルを踏んだときのパワーの掛かり方、チョット頼りないようなブレーキ、ステアリングを切ったときの荒っぽい反応など・・・私の思い違いの部分もあるとは思いますが、昔のZを運転しているような感覚が蘇る、そんなクルマになっています。昔からZに乗る人は、「そうそう・・・Zってこんな感じ」って言うんじゃないか?とも思います。毎年仕様変更を繰り返し、うまい具合にバランスが崩れてきてるのか、決して優等生ではない「Z」になりつつある様に感じました。この感覚は、Zだから許される「味」の一つとしてあっても良いと思いますし、一種のマゾ的な魅力が表面に出てきて私は嬉しく思っています。一般から言うとこれらはマイナスのイメージになるのでしょうが、マイナスイメージも含めて、Z33が完成の域に達してきたのでは?と思います。更に、今後でてくるVersion NISMO Type 380RS辺りでは、昔からのファンに「これぞZ!」と言わしめるような「おてんば娘」になるのではないかと、今から楽しみにしています。

■Zらしさ

過去数回Z33には乗ったことがありますが、「とても乗りやすい」という印象でした。しかし、この'07modelに関しては、乗りやすさという面が少し無くなってきた様に思えます。先にも書きましたが、イメージとして重く大きなクルマをパワーで動かしている感覚。決して乗りやすいクルマでは無く、ある意味「Zらしい」と感じました。
日産自動車は、Z33を新規開発するにあたり「Zらしさ」をかなり追求していたようですが、開発関係者自身狙っているのか偶然なのか、ここに来てマニアックな面での「Zらしさ」が出てきたように思えます。

このクルマの運転は疲れますよ!
決して楽に運転できるクルマでないですよ!
2人しか乗れませんよ!
でも排気量は3500ccなんです。
300psオーバーですしね。

こんなクルマに一種の魅力を感じます。
とっても「Zらしく」なってきました。

私はモータージャーナリストでなく、ましてやプロのドライバーでもありません。ですから私が行う試乗は、皆さんが日常的にクルマを扱う場合の立場で書かせていただいています。もちろん一般道での試乗となるわけですが、今回の試乗車であるZ33型フェアレディZ-'07modelは、'06modelからエンジンを高回転、高レスポンスのものに仕様変更されたもので、正直、一般道で扱う場合どの様なレポートができるのだろうと少々不安を感じていました。しかし、エンジンを変更することでクルマ全体のバランスが変わり、足回りも変わります。同じ車種でもここまでイメージが変わることもあるのか、クルマって奥が深いのだなと感心させられたものとなりました。
最後に、私自身が数年間フェアレディZに乗っていたこと、更に今でもZファンの一人であることから、少々辛口のコメント、偏った意見となっているかも知れませんがご了承あれ。

フォトギャラリー
(今回の試乗で撮影した写真のギャラリーです)

Fairlady Z(Z33-'07model)